縁結神社の伝説

 

昔、飛騨の商人の家に美しい娘がいました。主人はもうそろそろ嫁にやらなければならないと思っていたのですが、娘は店の若い奉公人に恋をしてしまいました。二人は結婚しようと決めていたのです。そのころの世の中は身分の大変厳しい時代でしたので、主人がそれを知った時の驚きと怒りといったら、それはすごいものでした。それでも二人の気持ちは変わりません。そこでとうとう飛騨から逃げようと決心し、夜中にこっそり逃げ出してしまいました。

  飛騨の町では大騒ぎ。奉公人達が二人を探しまわっています。山をいくつも越えて、木祖村にやってきた二人は縁結神社の前にすわりました。ここは昔から縁結びの神がいると言われ、まわりの木の枝の一つを、男の人の親指と女の人の小指だけを使って結ぶと、その二人は結ばれると言い伝えられていました。そこで二人はそばにあった桜の木の枝を結び始めました。夜になりましたが木の枝は結ばれません。けれど東の空が白々と明け始めた頃、やっと努力のかいあって桜の枝がしっかりと輪をつくったのです。ちょうどそこへやってきた公人達はその光景を見て諦めました。

 

「私たちが調べた木曽の伝説第一集」

  木曽西高地歴部民俗班編集 より抜粋